結婚の前段階として行われる婚約は、結婚の誓いと共に婚約指輪などの贈り物をして、お相手との結婚の意思を示すものです。
婚約に使われる婚約指輪は、記念の品物として顔合わせなどの際に両家の家族にもお披露目をします。婚約指輪をもらった側は、お相手に返礼品としてお返しの品物を用意します。
この記事では、婚約指輪のお返しがなぜ必要なのか、間違われやすい「結納返し」との違いやお返しを渡すタイミングについて紹介します。
婚約指輪のお返しは必要なのか
婚約指輪のお返しは、いわゆる返礼品として用意したいアイテムです。結婚の約束として贈られる物ですから、お相手の想いに応える形でお返しを用意しましょう。
ただし、必ずお返しを用意しなければならないというわけではありません。婚約指輪自体を贈らない、または婚約指輪を贈ってもお返しをしないといったケースもあり、カップル同士がお互いの納得のもとに贈り物を用意するのがベストです。
婚約指輪のお返しと結納返しの違い
婚約から結婚までの間、婚約指輪へのお返しと、結納返しのそれぞれを行う場合があります。2つの違いについて詳しく見ていきましょう。
婚約指輪のお返し
婚約指輪のお返しは、婚約指輪をいただいた後に贈ってくれた方に向けてお返しを行うものです。
指輪にかかった金額の半分または1/3程度が大体の相場であり、金額が不明な場合は指輪の代金を推測したうえで、半返しまたは1/3返しにします。お返しは必須ではありませんが、相手の気持ちに応えるためにも何かのお返しを用意しておくと喜ばれます。
結納返し
結納返しとは、結婚を約束するための儀式である「結納」に際して、新郎側が結納品と呼ばれる品物を新婦に贈り、その返事として新郎側に渡す品物または現金のことです。
古来より伝わる結納の儀式には地域差があり、半返しが基本の「関東式」または結納金の1割程度が支払われる「関西式」の他、地域ごとの細かな違いもみられます。現金または品物のどちらが適しているのかは、それぞれの土地の決まりに従います。
婚約指輪のお返しを渡すタイミング
婚約指輪のお返しは、いつ渡すのが正解なのでしょうか。お返しにふさわしいタイミングについてみていきましょう。
指輪をもらったあと
婚約指輪を受け取っても、両家の顔合わせや結納を行わない場合は受け取った後、好きなタイミングでお返しの品物を選びましょう。直接欲しい物を聞いて購入し、お返しとする方法も喜ばれます。
結納・顔合わせの前
両家の家族が集まる顔合わせ、または正式な結納が行われる場合は、その日までにお返しの品物を用意しておきましょう。婚約指輪を両家の家族にお披露目した後、新婦側から返礼品としてお返しを渡します。
その他のタイミング
婚約指輪と結婚指輪をセットで贈ってもらった(または2つの指輪を兼用にする)場合は、結婚式を終えてからのタイミングでお返しを贈りましょう。
婚約指輪をもらってからすぐ新婚生活が始まるなど、お返しを選んでいる時間がない場合には、一連のスケジュールが終わってからゆっくりとお返しを選ぶことも出来ます。その際、お返しのタイミングが遅れることをお相手に伝えておきましょう。
婚約指輪のお返しの費用相場
婚約指輪をいただいたら、相手へのお返しを用意しましょう。ここからはお返しにかかる費用の相場について紹介します。
半返し
半返しとは、いただいたお祝いや品物の金額の半分程度の金額を返すことです。きっちりと半分ではなくても構いませんが、下限が低くなり過ぎないように半分を意識しましょう。例えば200,000円の指輪なら100,000円程度の金額を目安にします。
1/3返し
1/3返しは、いただいたお祝いや品物の金額の3分の1程度の金額を返すことです。300,000円の指輪なら、100,000円が相場となります。
地域によっては1/3以下でも構わないとしている所もあり、一例として関西地方の結納返しでは金額の1割程度が目安となる場合があります。その場合は地域ごとの慣習に従うことをオススメします。
婚約指輪のお返しにオススメの品
婚約指輪を受け取った後は、お返しの品物を選びます。結婚の誓いとなる婚約指輪の返礼品であるため「一生もの」のアイテムが理想とされていますが、どのような品物を準備すれば良いのでしょうか。ここからは、お返しにオススメのアイテムをチェックしていきましょう。
腕時計
腕時計は、実用的かつファッションを格上げ出来る贈り物。お返しの定番品であり、「長く愛用出来る」もののため、「末永くお付き合いをしたい」という気持ちを込めることが出来ます。贈る相手の好きなブランドやデザインを中心に選ぶと更に喜ばれるでしょう。
財布・ケース類
財布やカードケース・キーケース・名刺入れ・パスケースなどのアイテムもお返しの定番です。使うほどに摩耗する財布やケース類は、常にきれいなアイテムを持っていたいもの。腕時計と同じように、贈る方の好みに合わせて選んでみてください。
スーツ・シャツ
スーツを着る機会があるお相手には、スーツ・シャツ・ベスト・ネクタイなどのアイテムも選択肢の一つに入ります。スーツに合う革靴などを新調しても良いですし、シャツは消耗品のため何枚あっても困らないアイテムです。必要な物から順番に、二人で選びながら揃えていくのも良いですね。
メガネ
身近なアイテムでありながら、プレゼントとしても喜ばれるメガネ。普段使いの出来るアイテムを贈りたいと考えている方は、お相手の好きなブランドのメガネはいかがでしょうか。
食事や旅行
お返しを品物ではなく「思い出」にすることも出来ます。例えば、普段とは少し違った場所での特別な食事や旅行は、二人にとって忘れられない思い出の一つになるでしょう。少し遠くまで足を延ばしてみるのも良いですし、新婚旅行とは違った雰囲気での思い出作りが出来そうです。
家電製品など
携帯電話などのガジェット類、加湿器や除湿機などの家電製品も実用的なアイテムです。お相手が家電製品を欲しがっていれば、お返しとして贈ると喜ばれるでしょう。
婚約指輪のお返しの渡し方
婚約指輪のお返しを渡す時は、婚約指輪を受け取った後で準備し、相手に直接手渡します。結納が行われる場合は結納の日までにお返しを準備しておきましょう。
ここからは、結納がある場合、ない場合とそれ以外のタイミングでの渡し方を見ていきましょう。
結納がない場合
結納が行われない場合は、婚約指輪を受け取った後、出来るだけ期間をあけずにお返しを渡しましょう。目安としては受け取ってから1ヶ月後までで、可能であれば早めにお返しをします。
品物が手元になくお相手と一緒に選ぶ方は、その後のスケジュールも考えて早めに予定を立てて選びに行くことをオススメします。
結婚式などのイベントが控えている場合はそちらの準備も重なるため、お返しの準備で時間がとられないように段取りを考えておきましょう。
結納がある場合
結納は伝統的な様式に則って行われるものと、略式結納と呼ばれる簡略化されたものとがあり、どちらの場合も結納品を新郎側が納めてから新婦の結納返しを納めます。婚約指輪のお披露目はその後になるので、婚約指輪のお返しはお披露目が終わってからとなります。
流れとしては結納品を納める→結納返しを納める→婚約指輪のお披露目→婚約指輪のお返しを納める順番で、一連の品物の取り交わしが終わると締めの挨拶となり、祝宴(食事会)に移行します。
結納返しの有無や金額などに地域差はあるものの、大まかな流れはどこも同じです。結納がある場合は、婚約指輪のお披露目よりも結納品の取り交わしが優先されることを押さえておきましょう。
時間が経過した場合
婚約指輪をもらってから時間が経過してしまっても、お相手に失礼がなければいつでもお返しを贈ることは出来ます。
指輪を受け取ってから1ヶ月後までにお返しが出来なくても、どこかで家族が揃ったタイミングや記念日などのイベントに際して渡すことも出来ます。
婚約指輪のお返しの注意点
婚約指輪のお返しについて、注意しておきたいポイントもあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
タイミングや相場を確認
お返しは義務ではありませんが、出来れば婚約指輪の返礼品として準備しておきたいものです。半返しにするのか、1/3返しにするか、あるいはお返しが不要な場合など、地域や家ごとの習慣も考慮し、お相手の側の立場や状況も踏まえて相場を決めましょう。
お返しのタイミングについても、もらってからすぐにお返しをするのか、結婚式の準備などのスケジュールをこなした後で品物を渡すのかを考えておきます。万が一お返しが遅れる場合は、きちんとお相手にその旨を伝えておくと親切です。
必要なものかを確認する
お返しの品物は、相手にとって嬉しい物かどうかが大切です。もらってもあまり使わない、後々処分されてしまう可能性がある場合は無理に購入せず、相手にとって本当に欲しい物を選んだ方が無難です。その場合、物ではなく現金でのお返しも選択肢に入ります。
持っているものは避ける
スマートフォンや腕時計などは新作が次々と登場するため、購入を検討する場合は慎重に。相手が喜んでくれる可能性があっても同じ物をすでに所有している可能性があるため、即断即決は避けましょう。
直接ほしいものを聞いてみる
「どうしてもお相手の欲しい物が分からない」「お返しに何を贈れば良いのか分からない」という方は、お相手の欲しい物を直接尋ねてみてください。
お相手の希望に関わらず、自分から贈りたい物がある場合はそちらを優先することも出来ますが、一言程度断りを入れておくと喜ばれるでしょう。
お相手にとっての一生ものを選ぶ
今回は、婚約指輪のお返しのタイミングについて詳しく紹介しました。伝統的な儀式である結納が行われる地域では、結納品と結納返しの贈答が先であり、婚約指輪とお返しのやり取りはその後に行われることを押さえておきましょう。
また、お返しの品物はお相手が喜んでくれる物が理想的です。「せっかくもらったけれど使えない」となるのは残念ですから、お相手の欲しい物を直接聞いたり一緒に選んだりする方法も考えてみてください。
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